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劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン雑記3

劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン雑記その3です。

メインで行っている映画館で公開が終了とのことで、観納めに行ってきました。半月振りに観たけど、改めて面白い映画だったなー。終わってしまうのが寂しい。

書こうと思って書いてないことが結構あったので、まとまってないことも書き出しておこうと思います。例によってネタバレあり。

小さな英雄

ユリス部屋にある缶には武器と盾を持った小さな戦士みたいな絵が描かれてて。ユリスの全財産が入っている入れ物って、ユリスそのものだよなーとか思うと、描かれている戦士もユリスじゃないかなと思って。シオンが持ってくる絵本の表紙には今まさにトンネルという闇に列車が入りつつある場面が描かれていて、たった一人で死という闇に立ち向かう姿を示唆しているようで。

この戦士をヒーローたらしめるためには、愛(ヴァイオレット)だけでは不十分で、最後に勇気(アイリス)の後押しが必要だった(花言葉的に)、とか考えるとエモいです。

ヴァイオレットが一番かわいいシーン

メイキングでも出てましたけど、船から身を乗り出すシーンのヴァイオレットはクソかわいくないですか。あそこのビジュアルの美しさはすごいなーと。夕暮れの色使いもとてもきれい。絵面だけで感動してしまうシーンです。

相関関係

市長とのやり取りでヴァイオレットが「書いた文章と私との間に相関関係はありません」みたいなことを言うシーンがあって。いくら堅苦しいキャラとは言え、相関関係とか言うかねって思って。これは他に相関関係がある文章もあるよってことじゃないかなと勘ぐってます。そうすると海への賛歌に対して「地位や功績があるわけではないので、讃えるのが難しい」みたいに言っているところがあって、これはヴァイオレットの位置づけと相関関係があるように感じてます。根拠に乏しいので妄想の域を出ませんが。

結婚式

冒頭の「海への感謝祭」は、ヴェネチアの「海との結婚」というイベントがモチーフなんじゃないかという説があって。上記ヴァイオレット=海だと考えると、全体的にもヴァイオレットとギルベルトの結婚がテーマになっているようにも見えます。冒頭、イルマ・フェリーチェが歌う海への賛歌が口パクだけになっているのも、それは本編とは少しズレたもの(イルマが戦争で死んだ恋人に捧げるもの)であるからで、後半朗読されるのはギルベルトとヴァイオレット(=海)との婚礼の儀を表しているからじゃないかなとか。父親役であるホッジンズの寂寥感が強調されるのも、そうした理由からだったりするのかも。

手紙フレーズあるあるその1

エカルテ島で、ヴァイオレットが「先生は、お元気ですか?」と子供たちに尋ねるシーンがとても好きで。手紙をモチーフにした作品だから、手紙フレーズあるあるが散りばめられてて、これもその一つですけど、使い古された言い回しに、本質的なシチュエーションを与えてやることで再定義するというか。声がややかすれ気味な演技とかも迫真って感じで素晴らしいです。「元気ですか?」でこんだけ感情を揺さぶれるのは、アントニオ猪木ヴァイオレット・エヴァーガーデンかってとこですね。

手紙フレーズあるあるその2

リュカのズッ友発言。素直にみるとただただ「いいセリフだなー」って感じなんだけど、よくよく考えると「これからもずっと友達でいようね」って、子供が年賀状とかでよく書くフレーズじゃんとか思って。シチュエーション重すぎなんですけど、本質的にはこういう意味だと思うと、代えがたい言葉だよなとか思います。

左手の感情表現

この映画、左手がよく感情表現に使われてて、左手に力が入るカットとかが頻繁にあって。それで言うとインテンスのシーンで左手が地面に落ちるカットは、戦争がヴァイオレットから人間らしい感情を奪った、みたいな表現なのかもなーとか思った。まあ考えてみれば右手は利き手であることが多いから、バランスを考えるとこの作品に限らず、右手が行動を表し、左手が感情を表す、みたいになるのは必然か。

それでいうとユリスと誓い合ったのは行動で、最後のカットで誓い合ったのは感情だったのでは…っていうとオチとしてはきれいですが、冷静に考えると後者は物理的に左手しか使えないのでそうなっただけに過ぎないとも考えられ、これも個人の妄想の域を出ません。

まとめ

以上です。本当に面白い作品で感無量でした。これで終わりだと思うと寂しいですね。ありがとうございました。

外伝がとても好きだったので、外伝2とかでスピンオフまたやってくれないかなー。

それはそれとして、個人的な本命であるユーフォの続編も作ってくれてるようなので期待に胸を膨らませています。ではまた。