『メタモルフォーゼの縁側』感想。
17歳の地味目でマンガ好きな、ちょっとオタク気質のある女の子、佐山うらら(芦田愛菜)と、3年前に夫を亡くし生きがいを見失っていた75歳の老婦人、市野井雪(宮本信子)が、BLマンガをきっかけに出会い、仲良くなっていく、という物語。
もうめちゃくちゃに良くて、週末土曜日に観に行って、すぐ後に原作全5巻を購入・読破し、翌日無性にもう一度観たくなって、いそいそとレイトショーに出掛けてしまったぐらいハマってしまいました。
前後の Twitter はこんな感じでした。
#メタモルフォーゼの縁側 面白かった。芦田愛菜って良い役者だな〜。「正気か? 私……」ってセリフが良かったです。客観的に見て何かでかい事件が起きているわけでは無いんだけど、当人たちにとっては大冒険の連続、みたいなの、ドラマチックでイイなーと思った。オススメです。
— たぬきち (@Tanukichi01) 2022年6月18日
#メタモルフォーゼの縁側 主人公のうららが走るシーンが結構な尺あって、あれがとてもよかった。自分は「よりもい」好きなんですけど、特に好きなシーンの一つが2話の追いかけっこをするシーンで。日向が陸上部のフォームで全力疾走するんですよね。なんかそれを彷彿とさせるような感じだった。
— たぬきち (@Tanukichi01) 2022年6月18日
勢いで原作全部買って読んでしまった。スマホ着信時の擬音が「ム~」っていうのがいいなw
— たぬきち (@Tanukichi01) 2022年6月18日
3巻22話で『何歳かになったら「やってもいいよ」となる時が来るのかと思っていたけど……』という下りにとても共感。「なにか始めるのに遅すぎるということはない」という言説は流れてくるけど、逆もまた然りで、早すぎるということもないよね。
— たぬきち (@Tanukichi01) 2022年6月18日
『メタモルフォーゼの縁側』めちゃくちゃ良かったからみんなにお勧めしたいんだけど、感想見てると『恋は光』と『PLAN75』も面白そうだな……。観たいけど今日は家にいることにしたのでパス。メタモルフォーゼもリピートしたいのに観たいの多すぎて困る。来週はベイビーブローカーなんだよなあ。
— たぬきち (@Tanukichi01) 2022年6月19日
今日は家でじっとしていると言ったな、あれは嘘だ。 pic.twitter.com/DEPjUdE8Jw
— たぬきち (@Tanukichi01) 2022年6月19日
#メタモルフォーゼの縁側 完璧な映画だった。ずっと浸っていたい心地よさがあるな~。劇伴がいいんですかね。今日は近くの席に年配のご夫婦がいてほっこりしました。下から上までどの世代に向けても、響くポイントのある、幅の広さも兼ね備えているんじゃないでしょうか。
— たぬきち (@Tanukichi01) 2022年6月19日
パンフも買っちゃった。うららのお母さん役、主題歌を担当したT字路sのギターボーカルの人なんですって。 pic.twitter.com/jIVy3DVPdd
— たぬきち (@Tanukichi01) 2022年6月19日
芦田愛菜と宮本信子の演技が本当に素晴らしくて、この二人の楽しげな会話をずっと観ていたかった。舞台に池袋がよく出てきて、若い頃はジュンク堂書店とかよく行ったから、個人的にはあの辺の景色が出てくるのもエモかったですね。
以下少しネタバレ。
演出の話。予告でも冒頭に少し挟まりますけど、落書きをゴシゴシって感じでうち消して、あとから進路調査票だったことに気付いてさらに修正テープで消す、みたいなところがある。あれは原作にはない演出ですけど、進路が決まっておらず、深層心理ではなんとなくマンガ家どうかなーと思ってるんだけど、いやいや無理でしょそんなのとうち消している、そんな感じですよね。
原作では意識してそうしているんだと思うんですけど、この作品は「夢はマンガ家!」みたいなわかりやすいゴールは避けて描いてて、あくまでも初期衝動を丁寧に描いている感じがして、それがとてもいい。別にそれで食っていけなくったって、やってみたいと思ったらやっていいんだよね。まあでも映画だと尺の制約も厳しいから、ちょっとわかりやすい表現になって、上述したような表現になったのかなって。商業的な成功はゴールじゃなくて、メルカリでマンガ家セット買って、小包開くじゃないですか、あそこがゴールだよなって。だからコメダ先生と重ねて描かれるわけで。商業でも同人でも、描くという行為自体は等価ですよと。それでもちゃんと本を作るまで行っちゃうんだから偉いですよね。
あとやっぱり走りがね、良かったです。やりたいこと、やるべきことが見つかった瞬間、溜まってたエネルギーが弾ける、そういう描写だと思うんですけど。
終盤、紡が滑り台の上にいるじゃないですか。最初、あそこ異様なシーンだと思って。あのサイズの男子があの遊具に乗るのちょっと無理があるような感じを受けたんですよ。イケメンだし。で、なんでかなって思ったんだけど、あそこ、うららが紡を見上げていた、という演出なんですかね? ずっと遠い世界にいて、なんか高い場所を見上げるように見ていた紡が、自分と同じように悩んだり、ビビったりしてたってことに気付いて、なんだ同じじゃんって。それで、地面に、自分と同じ目の高さまで降りてきて、自分はそういう、迷ってるときに、雪さんに背中を押してもらったから、同じようにしてあげなきゃって、紡の手を引いて走り出す。そんな風に見えて。
芦田愛菜、大好きになってしまった。
ちなみにうららが紡を送っていったのは京急蒲田駅で、非常によく利用する駅なので、あのシーンの場所を確認しに行ってしまった。完全に野暮な話をするとうららが走る先にあるのは普通電車の乗り場なので、品川に行くには20分ぐらい多く掛かることになり、普通に乗り継ぎミスですねw