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ドラゴンクエスト YOUR STORYの感想

 ドラゴンクエストユアストーリーの話をちょっと書きます。

 ネタバレ全開なので、未視聴の方は観てから。あと無駄にドラクエXIのネタバレをしていくぞ。気をつけろ。

  ドラクエシリーズを好きな順に並べると、こんな感じ。
III>XI>II>V>VI>IV>I>IX>VII
 IIIはやっぱ神ゲーなので不動の1位なんだけど、実はXIがかなりポイント高かったんですよね……。この2つはちょっと別格というか、自分の中でのドラクエを象徴するナンバリングというか。
 IIIは地上世界が自分たちの住む現実世界を模した世界になってて、ああ今回はこう言う趣向で、アレフガルド(IとIIの舞台)とは関係ない世界なのね、って進めていくと、最後の最後で実は世界の下にはアレフガルドが広がっていました!ってどんでん返しがある。この装置のおかげで、俺たちの現実世界は実はアレフガルドと繋がってたんだ!みたいな想像が掻き立てられるわけで、これがほんとドラマチックで最高だと思うんですよ。
 XIが好きなのも似た理由で、丁寧に丁寧に、王道ファンタジーのお約束、ドラクエ的展開をなぞっていくんですね。で、お約束的に死亡フラグを立てた仲間との別れがあって、ご丁寧にその能力が他のキャラクターに引き継がれ、暗に「このキャラクターはこのまま退場しますよ」と示唆される。もう世界を救う旅なんてどうでもいいやと、半ば捨て鉢になって先に進むんですけど、なんと最後はそのキャラクターを再び助けに行ける超展開が待っているわけです。ちゃんと文脈が用意されていて、それに沿って入り込めるように作ってあるんだけど、最後の最後でちゃぶ台を返されると言う、いい意味での裏切りがある。
 この二つが個人的にツボだったネタなんですけど、他のナンバリングも割とこう言う構造的な大ネタがあって、ビーンボール気味なんだけど予想の外から飛んで来る気持ちよさみたいなのはあって。俺にとってのドラクエ“イズム”みたいなものってこう言うところかなーと思ったりするんですよね。
 ユアストーリーも最初ファミコン風のゲーム画面から始まって、うわーこの懐古主義的な演出がこれから2時間近く続くのかー!と身構えたんですけど、本編始まったら普通にクオリティの高いCGムービーだし、アクション派手だしかっこいい、ああなんだ真面目にドラクエVのCGムービーやるのか、と思って割と入り込んでしまった。
 で、「今回のミルドラースは今までと違います!」みたいな意味深なこと言ってるから、どんなやつなんだろう?と思ってたらオチがあの展開ですよ。
 正直「うわー! まじかよさっぶwww」と思ったし、「でもゲームをやった体験は本物だよね!」みたいなメッセージは「くだらねー!」と思った。でもこのオチは全然予想していなかったから、正直「やられた!」とも思ったんですよね。
 これはビーンボール気味じゃなくて紛れもないビーンボールなんだけど、ぼくはそこに少し“イズム”を感じてしまった。だから個人的には“アリ”でした。超超大作なのに平気で予想を裏切ってくる、その身軽さみたいなものが魅力だなあと思うので、まあこれはこれでアリか、みたいな気持ちです。
 なので、個人的には割と楽しめました。怒ってる人がいるのもわからんでもないけど、怒るほどのことでもなくない? あと「ファンをバカにしている」みたいなところの主語にぼくを含めないで欲しいなって思います。
 一応お話としての整合性は取れているし、伏線もちゃんと回収してあってそんなに悪くないと思うけどなあ。むしろ良い例として引き合いに出されていたサマーウォーズの方がぼくは納得いかなかったです。あいつらなんで勝てたんだ、ゲーム舐めてんのか。

 その他指摘されていたところについて個人的な所感。

  • 主人公がチャラい→最終的にVRゲームでプレイヤーでした、ってオチを強調するための伏線では
  • ドラクエVの世界と違うところが多々ある→ドラクエVを模した物語内VRゲームなので、違うのが当たり前では
  • フローラ視点が挟まるの変じゃない?→確かに!
  • 監督はドラクエVやってない!→どうでもよくないです?

 意外とこんなもんか。他になにかあれば書きます。